最後のJ1・J2入れ替え戦

ヤマハスタジアム
2008年のJリーグは鹿島が2連覇して幕を閉じたけども、まだ最後の戦いが残ってる。優勝決定戦と同じくらいに緊迫した勝負。J1・J2入れ替え戦!
僕は一度この勝負を生で見てみたかったんだけど、幸い入れ替え戦制度が導入されてからレッズはこの戦いに巻き込まれずに済んでいたので見に行く機会がなかった。
だけどもこのJ1・J2入れ替え戦は来年からなくなってしまうというので、思い切って磐田までやって来ました!
14時30分頃、磐田駅に到着。シャトルバスに乗って15分くらいでヤマハスタジアム到着。初めてのヤマハスタジアム。こじんまりとした古いスタジアムだけど、サッカー専用のスタジアム。日本平もそうだけど、こういう歴史のあるサッカー専用スタジアムはまさにサッカー王国静岡の象徴って感じだなあ。
ジュビロサポーターのゴール裏の後ろを通り抜けてバックスタンドに向かう。キックオフ1時間前だけど既にサポーターのボルテージは最高潮。最後列のサポーターは自前で用意した脚立の上に立って飛び跳ねてる。この危なっかしい感じがまた熱くていいなあ。僕はこの試合では完全な第三者だけど、こういう熱さに触れると楽しくなる。
さすがに重要な一戦だけあって、空席を探すのが大変だったけどなんとかバックスタンドの上の方に席を確保できた。バックスタンドからは磐田の街が一望できて、「オラが街のサッカースタジアム」を実感できた。
そうこうしてる間に川口登場。そして両チームの選手も遅れてピッチに現れた。名波やゴン中山はサブみたいだけどメンバー入りしてる。対する仙台はほとんど知ってる選手がいないけど、平瀬がベンチ入り。
選手紹介が終わって、両チームのサポーターが応援歌を歌って気合いを高める。
おなじみの光景なんだけど、レッズの試合とちょっと違う。相手チームの選手紹介でブーイングもしないし、応援歌もカントリーロード(ベガルタ仙台)とTop of the World(ジュビロ磐田)なもんだから、どこか牧歌的。僕が当事者じゃないからだろうけども、緊迫はしてるけど殺伐としてなくてちょっと微笑ましい。
良い意味で「たかだかサッカー」ですからね。基本的には楽しむ気持ちが必要なんだと思うんですよ。今年一年間のレッズはチームもサポーターもトゲトゲしてたので、この雰囲気がちょっと羨ましかった。
いや、仙台も磐田もサポーターはのどかな気分なんてちっともないのは分かってますよ。でもやっぱりレッズの雰囲気とはちょっと違うって思ったな。
16時キックオフ。第一戦は1-1で引き分けだったので、やや磐田有利な状況。このまま0-0で終われば磐田残留。ということで仙台は攻めるしかない。とにかく点を獲らなきゃ負けなのだ。そういうシチュエーションも手伝ったのと、もともと攻撃サッカーがウリの仙台は序盤からガンガン攻める。30分くらいまでは仙台ペース。人もボールもよく動く面白いサッカー。特にナジソン、中島、関口は個人技も素晴らしく、J1でも充分通用するプレーを見せた。15分くらいの決定機をナジソンが決めてれば、その後の展開も変わってただろうに・・・。
対する磐田は3-5-2のザ・オフトシステム。リードしている余裕からか、押し込まれているのか、反撃の機会を伺っているのか30分まではあまり良い所無し。ここまでは正直仙台が1部リーグに所属する資格があると思った。
だけどもサッカーの試合は90分。90分通じてどんな戦いをするか。それが大事なんだって改めて思った。30分間攻め倒して決定機も作ったのに、点が取れなかった仙台はやや動きが少なくなってミスも増える。するとペースはだんだんジュビロペースに。前半をなんとか無失点で切り抜けられれば良いけどって思った40分過ぎ。
第一戦で値千金のアウェイゴールをあげた松浦拓弥が中盤でボールを奪って力強いドリブル。前田に一度預けたボールを胸で押し込んで、ジュビロ先制!
なんとも試合巧者。だけども仙台としては1点獲らなきゃいけない状況に変わりはない。まだ焦る必要はないはず。
後半に入るとまたしても仙台が怒濤の攻撃。だけども前半は30分続いた仙台ペースが15分くらいで息切れ。前半活躍してたナジソンや中島も引っ込んでしまいどんどんゴールの気配が薄れていく。
そんなちょっと嫌な展開の中、ナジソンに代わって入った平瀬が惜しいヘディングシュート!これを川口がスーパーセーブ。良い攻撃の形が少なくなっていたところに久々にCKを得た仙台。ここがチャンス!と選手もサポーターも思ったことでしょう。僕も思いました。
ここが今日の試合最大のポイントだった。DF一人残して全員上がった仙台。無情にもCKはクリアされて、前線に残っていた磐田の選手に渡る。DFと一対一。小刻みなステップでDFをかわしてシュート。ゴール!2-0!これでほぼ勝負あり。
そしてゴールを決めたのはまたしても松浦拓弥。2戦で3ゴール。ジュビロの全ゴールを稼いだ19歳のシンデレラボーイ。選手紹介の時は「あやや」みたいな名前だなってくらいの印象しかなかったのに、強烈なインパクトだった。メッシみたいな感じだな。将来が楽しみ。だけど、レッズ戦では活躍しないでね。
あの平瀬のシュートが決まっていれば振り出しだったのに、そこからのCKで2-0とは。実質的にはここで試合は終了。周りのジュビロサポーターも心無しか安堵感が。
だけども最後にもう一山ありました。
ロスタイムに入ったあたりで仙台は梁が直接FKを決めて2-1。残り1分。ちょっと反撃が遅すぎるよって思ったらその直後にもビッグチャンスが、ゴール前の混戦から何度も磐田ゴールに迫る。が、反撃もここまで。2-1で試合終了。
磐田J1残留。
正直に言うと昇格と降格の「J1・J2入れ替え」の瞬間を楽しみにしてたんだけど、結局入れ替えにはならなかった。だけども試合終了のホイッスルと同時にピッチに倒れ込んだ川口の姿を見た時に、しびれるギリギリの勝負を見られてほんとに良かったなって思った。
仙台サポーターに挨拶するジュビロ一同
そして試合終了後、ジュビロの選手一同が一度は磐田サポーターに挨拶に向かおうとしてから、行き先を変えアウェイのゴール裏に挨拶に向かった。ゴール裏に一直線に並んで、死闘を繰り広げた相手チームのサポーターに一礼すると、アウェイゴール裏から「ジュビロ磐田」コールが。そしてスタジアム全体で「ベガルタ仙台」コールが鳴り響いた。これぞスポーツマンシップ。なんて素晴らしい光景だろう。
僕が当事者(特に仙台の立場)だったらあんな風に相手を讃えるのは多分無理だったと思う。実際チャンピオンシップでマリノスに負けた時は、マリノスおめでとうなんてちっとも思わなかったし。
だけども、スポーツはかくあるべきだと思う。ベガルタの選手達はほんとにベストを尽くした。試合だから相手も必死だ。その結果負けることも当然ある。だけど自分たちがベストを尽くしたなら、勝った相手を讃えようじゃないか。そういうことですよね。これはぜひ見習いたい。相手に対するリスペクトだ。
プロだから結果が大切って言葉をよく聞くけど、僕はそうは思わない。プロだったら過程や内容を見せてほしいって思う。ベガルタはあと一歩の詰めが甘かったし、運が良ければJ1に上がれたかもしれない。だけど120%自分たちの力を出し切った結果だとも思う。だからサポーターはゴール裏に挨拶に来た選手をねぎらったんだし、ジュビロの残留に拍手できたんだと思う。
アウェイサポーターに挨拶した後は、選手一同スタジアムを一周。引退する名波や戦力外通告の田中誠のコールが起こる。
名門ジュビロしぶとく残ったか・・・。
それにしても素晴らしい戦いだった。第三者なのにめちゃくちゃ感動した。こんなに面白い戦いが来年からなくなっちゃうなんてほんとにもったいない。
ゴンちゃん良かったね

Share this:

Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です